DACエンジニアブログ:アドテクゑびす界

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Treasure Dataの新機能(Data Tank)をAudienceOneのレポート機能で利用した話

Data Tankとは?

Treasure Dataの新機能でTreasure Dataのプラットフォーム上に構築されたデータマートです。 Tableau等のBIツールとの接続を想定されており、AWSでいうところのRedshift的なものだと考えるとわかりやすいかと。 Data TankはPostgresql9.4をベースに拡張にされており、ストアドや9.1から追加されたForeign Data Wrapperも利用可能になっています。

AudienceOneについて

AudienceOneは、いわゆるDMP(Data Management Platform)で、どちらかというと、Public DMPに分類されています。 基本的な機能としては、Webデータの収集や分析、セグメンテーション、外部データ(3rdPartyデータ)との掛け合わせ分析、また、セグメンテーションしたデータをDSPなどの配信システムと連携する、といった機能を備えています。 詳しくはこちらを御覧ください

Data Tankの利用について

AudienceOneでは10/8のアップデートで複数のセグメントの重複率の分析を行うレポートでData Tankを活用しました。 最初に実際のレポートUIを見たほうがわかりやすいと思うので説明すると、 以下のようにベン図を用いて任意のセグメントについての重複率や重複ユーザ数の分析を行うことができます。 データについては大きいものでも数秒で出力することができます。

aone_report_1008

このレポートに使用しているデータは実に単純で、各セグメントA,B,Cに対して集合演算(A∩B、A∩C、B∩C、A∩B∩C)を行っているだけです。

ロジック自体はとても単純なんですが、AudienceOneには全体で4億以上のCookieデータがあり、10万を超えるセグメントがあります。 ユーザ x セグメントで直近1ヶ月を対象にすると、約120億レコードにもなります。 なので、事前にすべて組み合わせの集計をやろうと思ってもなかなか大変です。というより無理でした。。 とはいえ、非同期でやってしまうとスピーディーな分析ができず、PDCAサイクルを高速でまわすことができなくなってしまいます。

アドホックにセグメント間の重複分析できるようにするためにData Tankを利用しました。

システム構成としてはざっくりですが、以下のようになっており、Treasure Data上にあるログデータやAudienceOneで推計しているデモグラフィックデータなどをまとめてHiveQLで中間集計を行い、その結果をData Tankに出力しています。 そしてAudienceOneのコンソールから直接Data Tankに接続してデータを取得しています。

aone_datatank

データ量としては、HiveQLで処理するデータが上記で書いた通り約120億レコードで中間集計を行った結果が1,000万弱のレコード数となっています。 HiveQLの実行からData Tankに入れるまでの処理時間はだいたい1~2時間くらいです。

中間テーブルのデータの持ち方が一番工夫したポイントなので、具体的なテーブルの構成についてはご紹介できませんが、当初はRedshiftでの構築を検討していました。 ところが、ご存知のとおりRedshiftでは使える関数が限られており事前に考えた方法での実現が難しく、ちょうど困っていたところでData Tankを紹介いただいて、今回採用に至りました。

パフォーマンスについては、Data Tankの採用を決める前にちょっとだけやってみましたが、Redshiftと同等、ないしはData Tankのほうが早かったです。 もちろん、データ量やデータの内容、クエリによって全然異なると思いますが。 今回の採用した一番のポイントはPostgresqlの関数がすべて使える、という点だったのでまだちゃんと検証できていないというのが本音です。 個人的にはData Tankを利用することでTreasure Dataのプラットフォームですべて完結できるってのもいいなと思いました。

今後について

現状、Treasure Data+Redshift+Tableauという構成で構築しているものもあるので、 Treasure Data+Data Tank+Tableauとの比較検証もしてみたいと思います。 また、今後も継続してAudienceOneのレポート機能を拡充していくので、うまく活用したいと思っています。 Foreign Data Wrapperも今回利用しなかったので、マスタデータとの突合など機会があれば利用したいと思います。

おまけ

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