こんにちは。4度目の投稿です。
現在私はAndroidのSDKを開発しています。 javaにもAndroidにもSDKにも手を出したのは初めてなので、最初はそもそもSDKのイメージが湧かず、ふわふわした状態で始めました。
SDKと調べても「あるソフトウェアを開発するために必要なプログラムや文書などをひとまとめにしたパッケージ。ソフトウェア開発キット」
って出てきて、キットって何?色んな道具でも詰まってんの?という感じでした。 今聞くと理解できますが、こういうのは実際に目で見てやっとわかるものですよね。
ということで、私のように
- SDKってそもそも何?
- AndroidでSDKってどうやって開発してるんだろう?
という疑問をお持ちの方に、次回 "SDK" という単語を聞いてパッとイメージが湧くことを祈って書きます。
まずAndroidアプリ作成の基本
まずAndroidStudioを起動して新規プロジェクトを作成した時にできるファイルを説明します。 特に重要でよくいじるファイルは以下の3つです。
今回はこの②MainActivityに端末情報を取得する処理を書いていき、最終的には端末情報取得SDKを作ってみます。
端末情報取得メソッド作成
端末情報の取得はandroid.os.Buildというライブラリをimportすることで簡単に取得できます。 以下のように書きます。
[java] package edu.self.devicesdk;
import android.os.Build; import android.os.Bundle; import android.support.v7.app.AppCompatActivity; import android.util.Log;
public class MainActivity extends AppCompatActivity {
@Override protected void onCreate(Bundle savedInstanceState) { super.onCreate(savedInstanceState); setContentView(R.layout.activity_main);
//端末情報を変数に入れる String carrier = Build.BRAND; //キャリア String device = Build.DEVICE; //デバイス String manufacturer = Build.MANUFACTURER; //製造会社 String model = Build.MODEL; //モデル String version = Build.VERSION.RELEASE; //OSバージョン
//変数をログに書き出す Log.d("DEVICEINFO", "キャリア :" + carrier); Log.d("DEVICEINFO", "デバイス :" + device); Log.d("DEVICEINFO", "製造会社 :" + manufacturer); Log.d("DEVICEINFO", "モデル :" + model); Log.d("DEVICEINFO", "OSバージョン:" + version); }
} [/java]
実際にビルドすると以下のように取得した端末情報が書き出されます。
このようにして処理を追加していくのですが、MainActivityに全ての処理を書いていると 非常に見にくく、管理しにくいので、別のクラスに分けます。
新しいクラスを作る
先ほどMainActivityに書いた端末情報取得処理を、新しいjavaファイルを作成してDeviceInfoクラスの中に移します。
MainActivityでは新しく追加したDeviceInfoクラスのインスタンスを作成して利用します。
DeviceInfoクラスのcollectメソッドを実行すると戻り値が連想配列で返ってくるようにしたので、MainActivityに以下のように書きます。
[java] DeviceInfo deviceinfo = new DeviceInfo(); HashMap map = deviceinfo.collect(); [/java]
2行で端末情報が取得できるようになりました。
少し前置きが長くなりましたが、ここからSDK作成に移ります。
javaファイルをSDK化する
端末情報取得処理をDeviceInfo.javaファイルに分けて書くことができました。 このjavaファイルを誰でも使えるように、SDKとして出力したいと思います。
手順1. 新しいモジュールを作る
File > New > NewModuleを選択
Choose Module Typeで「Android Library」を選択してNextをクリック。 その後はそのままNext、Next、Finish
手順2. 作ったモジュール内にSDK化したいクラスを入れる
新しくmylibraryというモジュールが追加されたと思います。 mylibraryモジュール内のjavaディレクトリに、先ほど作ったDeviceInfo.javaファイルをコピーします。 ここにコピーされたファイルがSDKになります。
手順3. jarファイルの書き出し設定
AndroidのSDKはjarファイルとして出力します。 jarファイルとして書き出すためにはbuild.gradle(Module: mylibrary)に出力のための設定を書く必要があります。
手順4. ターミナルでjarファイル書き出し
ターミナルから対象プロジェクト直下のディレクトリに移動します。
[shell] $ pwd /Users/taisuke/AndroidStudioProjects/DeviceSDK [/shell]
そこで以下のコマンドを打ち、jarファイルを生成します。
[shell] $ ./gradlew mylibrary:clean mylibrary:assembleDebug mylibrary:makeJar [/shell]
BUILD SUCCESSFULが出れば成功です! mylibraryの下のreleaseの下にjarファイルができていることが確認できると思います。
[shell] $ ls mylibrary/release/ deviceinfo_sdk-1.0.jar [/shell]
これでjarファイルの出力、つまりSDKを作成することができました!
SDKを使ってみる
先ほど作ったjarファイルを使って端末情報を取得してみます。 新しいプロジェクトを新規作成します。
SDKはlibsディレクトリに入れて使うのですが、初期状態では表示されていないので、 下記のようにプルダウンからProjectを選択して、libsディレクトリを表示します。
そして先ほど作ったjarファイルをlibsディレクトリにコピペします。 ※ドラッグすると元ファイルが消えてしまうので、コピペをオススメします。
SDKをlibsディレクトリに入れたら、jarファイルを選択した状態で右クリック>Add as Libraryで、build.gradleに追加され、使用可能状態になります。
これで先ほど「新しいクラスを作る」でやったように
[java] DeviceInfo deviceinfo = new DeviceInfo(); HashMap map = deviceinfo.collect(); [/java]
とすれば、SDKの中にあるクラスを使うことができます。
まとめ
長くなりましたが、今回やった作業を簡単にまとめると、 「あるプロジェクト(アプリ)で作ったクラスを、別のプロジェクト(アプリ)でも使えるようにした」 ということになります。 今回は一つのjavaファイルしか作ってませんが、実際は複数のjavaファイルをまとめて(パッケージ化して)SDKを作成します。
あくまで今回は、AndroidにおけるSDK作成ですが、なんとなく最初に書いたSDKの定義に出てきた、"パッケージ"とか"開発キット"みたいな用語を理解して頂けたら幸いです。