2015年新卒入社の池田です。
「TVで動画コンテンツをみる時代」から「ネットで動画コンテンツをみる」時代になった今日このごろです。
「私もいっちょまえに動画広告を扱ってみたい・・・!!」と生意気にも思うようになりまして。
しかし、つい2か月前までド文系大学生だった池田は果たして動画広告を扱えるようになるのか。 この技術ブログ執筆を通して、池田が動画広告にどこまで歩み寄れるのか記録していきたいと思います。
まずは動画広告の基本となるIABの仕様書、「VAST」から始める。
【そもそもIAB仕様書ってなんだ】
IAB(=Interactive Advertising Bureau)といってアメリカに本拠を置く団体が、広告をどういうサイズで、どういう動作でどのように表示するのか、を決めた仕様書。
Web業界でも国際化が進み、広告がどのサイトでも適切に配信・表示されるようにするため、国際基準として仕様を策定したようです。
IABの仕様書 (IABのHP>GuideLines&Best researchers>AD products>IAB Standard Ad Unit Portfolio)
【てかVASTってなんだ】
VAST(= The Video Ad Serving Template)は動画を配信するためにIABが作成したユニバーサルなフォーマットのこと。
VASTがなくても動画広告は配信できますが、一つ一つのプレイヤーとサーバーを繋げるために、毎回開発が必要でちょっと面倒。
しかし、このVAST2.0があれば各プレイヤーと各サーバー間で同じフォーマットでやりとりできるため、接続・配信が簡単になります。
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こんな感じで広告主はVAST準拠の広告を一種類でも用意すれば、VAST対応の動画プレイヤーを採用している多数のメディアに出稿することができます。またプレイヤー側もあらゆるフォーマットに対応する必要はなく、VASTに対応するものを開発するだけでいいのです!何ともありがたいお話です。
【そしてVAST3.0】
VASTは2.0だけではありません。2012年にリリースされた最新バージョンの3.0もあります。
3.0に追加された機能の中で特に注目されているのが「Ad pods」と「Skippable Linear Ads」です。
- Ad podとは、インストリーム広告(pre-roll、mid-roll、end-roll)で動画の連続性を制御できる機能です。サーバー側から広告の表示する順番を規定することができます。TVCMのようにインストリーム広告で複数動画配信を行いたい場合は、このAd podが必要になります。
Skippable Linear Adsではインストリーム広告のスキップ可否もサーバー側で設定できるようになりました。ユーザーにスキップできる選択肢を残しつつ、長めの(60秒)動画広告も配信できます。
【まぼろしのVAST1.0】
「あれ、2.0ってことは1.0もあるんでしょ?」というアナタ。
1.0はあります。2008年、VAST1.0がリリースされました。しかし、これはとても構成が複雑で、わかりにくく、ほとんどの企業は採用していませんでした。次の年には分りやすくバージョンアップしたVAST2.0がリリースされたため、VAST1.0の仕様書が検索してもなかなかでてこないほどの、まぼろしの仕様書になっています。
【VASTまとめ】
VASTなし:サーバーとプレイヤーでいちいち設定を行わなくてはいけない。大変。
VAST1.0:ユニバーサルなフォーマットを試みたが、ユーザーにとってユニバーサルではなかった。
VAST2.0:サーバーとプレイヤー間のユニバーサルなフォーマットが完成。しかし、広告のスキップ機能等の設定はプレイヤーごとのスペックによりけりで個別に対応していた。
VAST3.0:VAST2.0の機能を同等以上に実現でき、なおかつ広告スキップ機能や連続配信制御などをサーバー上で設定できるようになった。プレイヤーは受信したあと、何もしなくてもいいのです。流すだけなのです。
まだ現状では日本はやっとVAST2.0に対応してきたところ。一部VAST3.0にも対応していますが、今後必要に応じてVAST3.0にも対応しなければいけないかもしれません。
VASTを学んだことで少しだけ動画広告に近づけた気がします・・・。
次回はVMAPやVPAIDに関して紹介していきたいと思います。(たぶん)
もっと歩み寄りたい、動画広告。
池田佳穂
(追伸)
もっとVASTについて知りたい!という方はこちら。コードもあります。