DACエンジニアブログ:アドテクゑびす界

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【動画広告】VASTって何?

こんにちは、FlexOne推進部の近江です。

私は新卒入社2年目でアドサーバーや動画ソリューション(OVP)のサポート、開発を担当しています。

今回は動画広告のプロトコル「VAST」について書かせて頂きます。

 

ここ数年動画のくるくる詐欺がありましたが、昨年はHulu、ユーチューバー、見逃し視聴、動画関連のワードが多くなり

本当の意味でついに動画元年を迎えたような気がします。

最近ではテレビでも動画広告が流れているくらい、マルチデバイスでシームレスに動画が配信されています。

さて、この動画広告配信の技術を支えているのは何でしょうか?

 

はい、その答えがVASTになります。

 

・VASTとは

IABに記載されているVASTの定義は以下です。

Video Ad-Serving Template (VAST) ― a universal protocol for serving in-stream video ads, permitting ad servers to use a single ad response format across multiple compliant publishers/video players http://www.iab.net/guidelines/508676/digitalvideo/vsuite

訳すと、インストリーム動画広告を提供するための汎用プロトコルで、複数のパブリッシャー/ビデオプレーヤーに対しアドサーバが単一の広告応答形式でやりとりできるようにするためのもの。

簡単に言うと、アドサーバーやプレイヤーがこのVAST規格に則れば1つの形式でやりとりできるのでこの規格に則りましょう、ということですね。

 

・なぜVASTが必要か

なぜVASTが必要か、それは「もしVASTが存在しなかったら」と考えれば一瞬で理解できます。

 

動画広告について考える時に登場するシステムは大きく分けて、アドサーバー、プレイヤーの2つです。

もちろんVASTが存在しなかった時代はあった訳ですが、その時どうやってアドサーバーとプレイヤーは連携できていたのでしょうか。

恐らくVAST規格というものがないので、通信のやり取りを自分たちで1つ1つ決めなければならなかったはずです。

わざわざ打ち合わせをしてアドサーバから送信される情報は何か、プレイヤーはどのように受け取るのがベストか、いちいち考えなければならなかったはずです。

私も経験がありますが、システム連携する際に通信のやり取りを決めていく過程は結構時間が大変ですよね。

その工程が、VASTに準拠しているアドサーバー、プレイヤーであれば、「このURLをプレイヤーにセットしてください」で終了です。

話が早いのがよくわかると思います。

 

・VAST XMLを見てみよう

まずこちらがVAST XML(一部)です。

[xml] <VAST version="3.0"> <Ad id="2215590"> <InLine> <AdSystem version="1">AdServer</AdSystem> <AdTitle> <![CDATA[ 2215590 ]]> </AdTitle> <Error> <![CDATA[ http://xxxxx.com/log/p.gif?6=27646;a=2215590;n=2592;c=2592000035;s=0;x=4928;g=84;m=6;w=3;1=8;os=9;2=6;z=0.7086163192175353;pu=;ru=;e=e;erc= [ERRORCODE]; ]]> </Error> <Impression id="IMP"> <![CDATA[ http://xxxxx.com/asw/log/vast/it.js?a=2215590&x=4928&g=84&c1=2592000035&c2=2592000035&i=0&d=19&n=2592&s=0&m=6&w=3&u=JqPQZmGRQGaU3pz@DMwXSQ~021715&cv=null&1=8&2=6&zft=-1&zcft=1&zxf=0&zxd=0&zxchs=35&zcxf=401053&zcxd=24&dp=&ai=&pRate=null&al=30&nt=0&tsad=0&z=0.9612661205602768&ld=m8.xxxxx.com&h=2262051&f=2678060&prfl=&os=9&ct=2&pu=&ru=&exp=1&tz=P09_00&csv=1&dct=2067&dmf=&dvm=&dsr=&djs=&dhs=&att=1 ]]> </Impression> <Creatives> <Creative id="2215590"> <Linear skipoffset="00:00:03"> <Duration>00:00:30</Duration> <VideoClicks> <ClickThrough> <![CDATA[ http://xxxxx/ads2/c?a=2215590;x=4928;g=84;c=2592000035,2592000035;i=0;n=2592;s=0;1=8;2=6;tg=1426596229;vr=1;m=6;w=3;os=9;ct=2;u=JqPQZmGRQGaU3pz@DMwXSQ~021715;z=0.8409217402507212;ainfo=;csv=1;dct=2067;dmf=;dvm=;dsr=;djs=;dhs=;q=;pu=;ru=;k=http://www.dac.co.jp ]]> </ClickThrough> </VideoClicks> <MediaFiles> <MediaFile delivery="progressive" bitrate="1056" width="640" height="360" type="video/mp4"> <![CDATAhttp://xxxxx.com/OzoDB/g/u/2215590/V1/xxxxx.mp4]> </MediaFile> </MediaFiles> <TrackingEvents> <Tracking event="Errors"> <![CDATA[ http://xxxxx.com/log/p.gif?6=27646;a=2215590;n=2592;c=2592000035;s=0;x=4928;g=84;m=6;w=3;1=8;os=9;2=6;z=0.10759274965348731;pu=;ru=;e=e; ]]> </Tracking> <Tracking event="progress" offset="00:00:60.000"> <![CDATA[ http://xxxxx.com/log/p.gif?6=25946;a=2215590;n=2592;c=2592000035;s=0;x=4928;g=84;m=6;w=3;1=8;os=9;2=6;z=0.7948940301353307;pu=;ru=;e=e; ]]> </Tracking> <Tracking event="progress" offset="00:00:45.000"> <![CDATA[ http://xxxxx.com/log/p.gif?6=25468;a=2215590;n=2592;c=2592000035;s=0;x=4928;g=84;m=6;w=3;1=8;os=9;2=6;z=0.9106878835415341;pu=;ru=;e=e; ]]> </Tracking> [/xml]

 

VAST規定のタグ要素をいくつか紹介したいと思います。

  • <Impression>

[xml] <Impression id="IMP"> <![CDATA[ http://xxxxx.com/asw/log/vast/it.js?a=2215590&x=4928&g=84&c1=2592000035&c2=2592000035&i=0&d=19&n=2592&s=0&m=6&w=3&u=JqPQZmGRQGaU3pz@DMwXSQ**~021715&cv=null&1=8&2=6&zft=-1&zcft=1&zxf=0&zxd=0&zxchs=35&zcxf=401053&zcxd=24&dp=&ai=&pRate=null&al=30&nt=0&tsad=0&z=0.7030178291920351&ld=m8.xxxxx.com&h=2262051&f=2678060&prfl=&os=9&ct=2&pu=&ru=&exp=1&tz=P09_00&csv=1&dct=2067&dmf=&dvm=&dsr=&djs=&dhs=&att=1 ]]> </Impression> [/xml]

 

<Impression>タグはImpカウント計測用トラッキングpixelの送付先URLを指定する箇所です。

このトラッキングpixelをプレイヤーからアドサーバーに送って計測します。

  • <MediaFiles>

[xml] <MediaFiles> <MediaFile delivery="progressive" bitrate="1056" width="640" height="360" type="video/mp4"> <![CDATAhttp://xxxxx.com/OzoDB/g/u/2215590/V1/xxxxx.mp4]> </MediaFile> </MediaFiles> [/xml]

 

<MediaFiles>タグでは配信する動画広告の素材のURLを指定します。

  • <Tracking>

[xml] <Tracking event="progress" offset="00:00:60.000"> <![CDATA[ http://xxxxxx.com/log/p.gif?6=25946;a=2215590;n=2592;c=2592000035;s=0;x=4928;g=84;m=6;w=3;1=8;os=9;2=6;z=0.9177278488830444;pu=;ru=;e=e; ]]> </Tracking> <Tracking event="progress" offset="00:00:45.000"> <![CDATA[ http://xxxxx.com/log/p.gif?6=25468;a=2215590;n=2592;c=2592000035;s=0;x=4928;g=84;m=6;w=3;1=8;os=9;2=6;z=0.1331810786302503;pu=;ru=;e=e; ]]> </Tracking> [/xml]

 

<Tracking>タグはアドサーバーで計測する指標をeventで指定し、計測トラッキングpixel送付先URLを指定しています。

eventは再生開始、25%完了、50%完了、75%完了、100%完了、停止、ミュート、フルスクリーンなど様々な指標が計測できるように定義されています。

VAST 2.0では25%ずつしか計測できなかったのですが、VAST 3.0では図のprogress要素が使えるようになり、

任意の時間で計測することが可能になりました。

 

今出てきた<Impression>,<MediaFiles>,<Tracking>のようなタグ要素は、全てIABが定義している要素であり、この定義に従い、

・アドサーバー側はこの規定を守ってVAST XMLを生成する

・プレイヤー側は規定通りのXMLが来ることを期待して解釈できるようにする

このようにして各ソリューションはVAST対応を目指しています。

 

・VASTで実現できる広告フォーマット

VASTではインストリーム広告の最も一般的な次の広告フォーマットが実現できるように定義されています。

・Linear video ads(プリロール、ミッドロール、ポストロール)

・Non-linear video ads(オーバーレイ)

・Companion ads(コンパニオンアド)

 

プレイヤーの設定でプリロール広告を2つ流したり、コンテンツ再生中にミッドロール広告を10分ごとに複数回流したりすることも可能です。

 

 

今回はVASTについて触れましたが、他にもIABはVPAID、VMAPという動画広告の規定を発表しています。

現在VAST 3.0まで発表されていますが、今後も4.0,5.0と新機能が追加されていくと思いますので、

次回から注目してみてください。